Rの発音とLの発音(永遠の課題)

の発音とLの発音


まず日本語のラ行から。「ベルリッツの世界言葉百科」(P219)には、「日本人じゃない」と言い張る日本兵捕虜に“lalapaloosa”と言わせるテストをしたとあります。その理由は日本人がLの発音Rの発音のようにする傾向があるからだ、と書かれています。

このことが本当だとすると、日本語のラ行はLの発音に近くなく、Rの発音に近いということになります(ただしこの話は1940年代)。


ところが、藤村靖の「音声科学原論」(P200・ノート83)には、東京方言のラ行音は、一般に舌先を口蓋に当てるが横側で硬口蓋および歯茎との間に隙間があるので、その意味でLの発音であるとことが多いといわれる、とあります。「その意味で」というのがなかなか微妙な限定ですね。


また「英語発音は日本語でできる」という本には、昼間の「る」はLの発音に近く、知らないの「ら」の子音はRの発音に近いとしています。


そしてもう一つ。ラ行は米語のフラッピングしたT(フラップT、ソフトDとも言う。例えばBUTTERのTです)に一番近いとも言います(このフラッピングは日本人が練習しなくてもすぐできる動きで、フラッピングしない本来のTの方が難しいです)。


以上から結論。日本語のラ行は音の並び次第でLに近くなったり、Rに近くなったりする「どっちつかずな音」である。Lになるには、舌先が歯茎に当たっている時間が短すぎ、Rになるには、舌先が天井を軽くたたくだけならまだしも、R音(こもり音)がなさすぎる。


ではLをしっかり見ていきます。まずは書物から。まずLは、F3(フォルマント3)の違いで聞き分けているという研究(山田、1996)があります。また藤村靖の「音声科学原論」にはR音の特徴はF3の低下にあるとしています。さらにこの本によると、「千葉・梶山の定理」に従えば、F3を下げる方法は・・・

1)(粒子速度の振動の腹がある)唇、舌先付近、口蓋垂付近という3カ所の空間を狭めること(P141)。喉頭の低下(P145)。

2)(粒子速度の振動の節がある)唇と舌の前部の間(歯の辺りか?)、舌の中央部という2カ所の空間を拡げること


では具体的に行きます。まずは音のイメージ。


(接近音、半母音)

 YやWと同様の移行音に分類されることもあるが、YとWは継続的に発音できないが、Rはできるという違いがある。

柔らかい。

広がりがあって、形がはっきりしない。

変化する。

こもった感じ。


 (側面摩擦音)

やや硬い。

広がりがなく、形がはっきりしている。 舌先に向かって直線的な感じ。

変化しない。

あまりこもっていない感じ。(ただし暗いと明るいあり。語頭のLでも、米語は暗いLだが、イギリス英語は明るいL


次に両者の口の形。まず唇。

の方は一定の丸みを維持する。*ピーター・ローチの「英語音声学・音韻論P61には「円唇化が強すぎると、Wに近い音になる。これはイギリスの子供たちのほとんどが大人のようにRを発音できるようになるまで発する音である」とあります。の方はほぼ普通のまま。


そして舌。

の方は舌先が立ち、前歯の後ろの歯茎の土手に近づくが、付かず、舌の両脇と歯が付いています。そして舌の後ろの方が団子状になって軟口蓋に近づいています。舌全体が後ろに下がることで喉頭低下も起こります。なお舌の中央部は下にへこんでいます。そして、舌先から出た響きが唇に当たって、さらに柔らかくされます。そして次に、同時進行的に、舌先が土手が離れ、舌の後ろの団子が解消され、一気に母音に移行します。ではRマスターのポイントです。

1)ここに書かれた口の構えを作ってみる。

2)こもった感じの響き(低下したF3の音)を耳でとらえる。

3)さらにその響きを最大化する口の構えを探って見つける。

4)大きくなったその響きを耳で(音で)しっかり覚えて定着させる。

5)発音する時にその響きを聞こうとすると、自然に口の構えができる。

(子音を利用して母音のRを出しやすくする方法もあります)

一方は比較的簡単です。舌を前歯の後ろの歯茎の土手にしっかり、ねっとり付け、舌の両脇と歯の間が空けてエアを通します。日本語のら行のようにフラッピング(軽くたたくような動き)しないことが大切です。

PS

RケントとCリード著の「音声の音響分析」P.30には、/r/は通常、舌尖を歯茎後部に向かって反り返すことで生成されるが、時に、硬口蓋に狭めを設けたり、あるいは時に、咽頭に狭めを設けることで生成される。というのも、これら3つの領域での狭めはすべてF3の低下と結びつくからである、とあります。話者がすべてのフォルマント(F1、F2、F3)の周波数を低くするのには3つの一般的方法がある。すなわち、1)唇を突き出して声道を長くする。2)唇に狭めをつくる。3)喉頭を下げる(これは声道を長くするもう1つの方法)である。

英語発音サクッ!と探検隊

英語発音をサクッ!と探検します。あなたの英語発音アップのための読むサプリ。大阪府堺市で英語発音と英会話のレッスンもしています。

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